2007年度1学期水曜4時限「認識するとはどういうことか?」
第9回講義(2007年6月27日)
§8 心身問題 その2
3、心身問題における中心問題:「同一説は正しいのか?」
物理主義Physicalism= 同一説identity theory=還元主義Reductionism(p.56)
コンピュータ機能主義 Computer
functionalism=強い人工知能 Strong AI
(1)クオリア
先週は、クオリアを唯物論で説明できるのか、を考えました。
(2)志向性をどう説明するのか?
今週は、志向性をどう説明するのかを考えたいと思います。
■志向性とはなにか。(サール『心の哲学』山本貴光、吉川浩満訳、朝日出版社より)
志向状態とは、例えば、信念、欲求、希望、恐れ、知覚、記憶、意図、である。
志向性とは、このような状態の心の性質である。
志向状態には、自らを超えて世界の中の対象と事態を指し示す能力がある。
志向状態が、命題を内容とするわけではない。志向状態は単に対象を指示するだけかもしれない。たとえば、マリリンを愛する、と言う場合。S(n)
■intentionality(志向性)とintensionalityの区別
志向性は、世界の中の対象と事態へと方向付けられ、関与し、その一部となる。
intensionality(内包性)とは、外延性(extensionality)に対立するもので、
特定の文や言明その他の言語的な存在物が備える性質である。
通常、文や言明の意味Sinn(指示Bedeutungと区別されて)と呼ばれているものである。
|
|
因果的自己言及 |
適合方向 |
因果関係の方向 |
認知 |
知覚 |
○ |
mind |
mind |
記憶 |
○ |
↓ |
↑ |
|
信念 |
× |
↓ |
空 |
|
意思決定 |
行為中の意図 |
○ |
↑ |
↓ |
事前の意図 |
○ |
↑ |
↓ |
|
欲求 |
× |
↑ |
空 |
■心の内容を次のように区別できる
1、クオリア
2、志向性
(1)非言語的な志向性
(2)言語的な志向性
Figure 1
“How
can animal be hungry or thirsty?” 115
the
angiotensin2 gets inside the hypothalamus (視床下部)
@↓trigger
a
certain neuron activity A= a feeling of thirst (qualia)
B↓ C↓
a certain neuron activity D=a intentional feeing i.e. a desire to drink a water
(nonlinguistic
intentionality)
E↓ F↓
a
certain neuron activity G= “I want to drink water”
(linguistic
intentionality)
Figure 2(推論)
ある脳過程 @= 「私は水が飲みたい」
+(ある脳過程) +(「水道の水をコップに入れれば、水を飲むことが出 来る。」などの様々な信念)
A↓ B↓
ある脳過程 C= 「私はそのために、コップをとろう」
D↓ E↓
ある脳過程 F= 「私はそのために、手を上げよう」
Figure 3(心的因果)
ある脳過程 @= “I raise my arm” 「私は腕を上げる」
A↓
a neuron firing in the motor
cortex (運動皮質でのニューロンの発火)
↓
the
secretion of acetylcholine at the axon end plates of my motor neurons
(運動ニューロンの軸策突起の末端でのアセチルコリンの分泌)
↓
the
stimulation of the ion channels (イオン・チャンネルの刺激)
↓
the
attack on the cyptoplasm of the muscle fiber (筋肉繊維の細胞質への作用),
↓
the
arm rises